2024年7月12日、JATICの菊田理事は、JU福岡の谷崎副理事長および株式会社meコーポレーション代表取締役の槙野様と、カンボジア王国における総合自動車事業についてお話を伺いました。以下はそのインタビューの内容です。
カンボジア王国における総合自動車事業計画について
カンボジア王国における総合自動車事業は、急成長する同国の自動車市場に対応し、高品質な日本製中古車を中心に、信頼性の高いモビリティソリューションを提供することを目的としています。事業は三つのフェーズに分かれており、フェーズ1では、高品質で適正価格の中古車および関連サービスの提供を行い、顧客満足度を高めることを目指します。フェーズ2では、中古車事業を拡大し、プレミアムカーカスタマイズや効率的な物流インフラの提供を進めます。最終的にフェーズ3では、「アンコールワット・モーターシティ」の開発を通じて、モータースポーツを核にした観光施設を構築し、地域経済の活性化を促進します。この事業は、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を念頭に置き、カンボジアのモビリティの未来を創造するものです。
インタビュー
JATICの菊田理事は、この総合自動車事業計画の詳細について、槙野氏と谷崎氏の具体的なビジョン、戦略についてインタビューしました。
質問 1: このプロジェクトを始めることになった背景と目的を教えてください。
槙野様の回答: 「カンボジアでは経済成長に伴い、国民の所得水準が向上し、自動車に対する需要も高まっています。しかし、新車の価格が高く、中古車市場の信頼性が低いことが課題です。このプロジェクトは、高品質な日本製中古車を提供し、カンボジアのモビリティ発展に貢献することを目的としています。」
谷崎様の補足: 「私たちは日本国内のオークション会場で高級外車を落札し、カンボジアへ輸出する計画も考えています。良質な高級外車を提供することで、新たな市場を開拓したいと考えています。」
質問 2: プロジェクトの全体像をどのように説明されますか?
槙野様の回答: 「このプロジェクトは、アンコールワット・モーターシティ構想を核に、段階的な戦略を展開します。フェーズ1では、高品質で適正価格のモビリティソリューションを提供します。フェーズ2では中古車事業の拡大と新たなモビリティサービスを導入し、フェーズ3ではアンコールワット・モーターシティの開発を目指します。」
谷崎様の補足: 「特にフェーズ3では、モータースポーツを中心とした複合的なエンターテイメント施設を整備し、地域経済の活性化に貢献したいと考えています。」
質問 3: フェーズ1で具体的にどのような施策を展開する予定ですか?
槙野様の回答: 「フェーズ1では、日本で厳しい品質基準をクリアした中古車をリーズナブルな価格で提供し、信頼性の高いメンテナンスサービスも展開します。また、カンボジア王国内の保税地域や保税工場を設立し、日本国内で製造した車両部品の交換作業を効率的に行うことを検討しています。」
谷崎様の回答: 「カンボジア王国の関係者に保税地域を確保できるか確認する必要があります。」
質問 4: カンボジアの自動車市場の成長性について、どのように分析されていますか?
槙野様の回答: 「カンボジアの自動車市場は急速に拡大しています。新車販売台数は年々増加しており、中古車市場も活況を呈しています。私たちは、信頼できる日本製中古車を提供することで、この市場の成長をさらに加速させたいと考えています。」
谷崎様の回答: 「特に高級車の市場は、富裕層の増加に伴い成長が期待されています。私たちの高級外車輸出計画は、この市場のニーズに応えるものです。」
質問 5: ジャパニーズブランドとしての強みをどのように活用する予定ですか?
槙野様の回答: 「日本車は品質と耐久性の高さで世界的に評価されています。良質の中古車を車種選定し、部品を一緒に輸出し、保税地域内で交換作業を行う。日本車でニコイチ車ではないものを製造・販売すれば売れると思います。3年前までプノンペンで整備工場を運営していたので、良く分かります。また、交換作業や整備士の育成もカンボジア王国で考えています。環境技術や整備士育成のノウハウを導入し、持続可能なモビリティの発展を支援します。」
谷崎様の回答: 「私たちは、日本企業としての倫理観とコンプライアンス意識を持って事業を展開します。これにより、カンボジアの顧客やビジネスパートナーからの信頼を獲得し、長期的な関係を築いていきたいと考えています。」
質問 6: フェーズ2での新たなモビリティサービスについて、具体的な計画を教えてください。
槙野様の回答: 「フェーズ2では、オンラインオークションシステムを活用し、透明性の高い中古車市場を構築します。また、プレミアムカーカスタマイズ事業も開始し、顧客の要望に応じた内外装のカスタマイズを提供します。」
谷崎様の回答: 「整備部品やエアロパーツを同時に輸出することで、より多くの顧客ニーズに応えることができると考えています。」
質問 7: 物流インフラサービスにおいて、具体的な考えを教えてください。
槙野様の回答: 「コールドチェーン計画は非常に興味深いです。具体化には時間がかかると思いますが、現在弊社が取り組んでいる軽貨物を冷凍車、冷蔵車に製造している事業をカンボジア王国で行えばコストを抑えることが可能です。」
谷崎様の回答: 「同時にさらに、効率的な物流インフラサービスを提供し、コールドチェーン物流にも対応します。これにより、生鮮食品や医薬品などの輸送ニーズにも応えることができます。」
質問8: フェーズ3のアンコールワット・モーターシティ構想について、具体的な計画とその狙いを教えてください。
槙野様の回答:
「フェーズ3では、シェムリアップ近郊にアンコールワット・モーターシティを開発することを計画しています。この構想の核となるのは、モータースポーツを中心とした複合的なエンターテインメント施設の整備です。具体的には、国際基準を満たすゴーカートサーキット、レースイベント開催、レンタルカート場、レーシングスクール、モータースポーツミュージアム、ショッピング施設、飲食店などを併設し、一日中楽しめる施設を目指します。これにより、観光名所としての価値を高め、地域経済の活性化に寄与するとともに、雇用創出も期待できます。」
谷崎様の補足:
「アンコールワット・モーターシティは、観光客のみならず、国内外のモータースポーツ愛好者を惹きつけることを狙っています。また、地域の自動車関連産業の集積地として機能させ、日本からの技術移転を促進し、カンボジアの技術レベルを向上させる役割も果たすことができると考えています。さらに、環境配慮型の廃棄物リサイクル燃料事業を通じて、持続可能な開発の実現に貢献したいと考えています。」
総括
今回のインタビューを通じて、カンボジア王国における総合自動車事業が持つ大きな可能性と、その背後にある綿密な計画が明らかになりました。槙野様と谷崎様が示されたビジョンは、単に自動車市場の発展に留まらず、地域経済の活性化や持続可能な社会の実現にも寄与するものです。日本の高品質な中古車と信頼性の高いサービスを提供することで、カンボジアの消費者に新たな価値をもたらし、モータースポーツを中心とした観光施設の開発を通じて新たな経済圏を創出する計画は、同国の未来を切り開く革新的な取り組みといえます。
また、物流インフラの整備やコールドチェーンの導入により、単に自動車産業にとどまらず、食品や医薬品の輸送という重要な分野にも貢献できる点は、地域のニーズを的確に捉えた戦略です。これらの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた具体的なステップとしても位置づけられ、社会的な意義が非常に高いと評価できます。
今後の展開においては、カンボジア政府や地域のステークホルダーとの連携を強化し、実現可能性をさらに高めていくことが求められます。このプロジェクトが成功裡に進行し、カンボジアのモビリティの未来を築いていくことを期待しています。
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