2024年7月26日から30日にかけて、日本先端技術国際インフラ協力機構(JATIC)の柏野代表、杉山副代表、赤沼評議員、太陽光発電技術担当の北川理事の4名が、カンボジアの現地太陽光発電事業者を訪問し、現地の発電事業の現状、法律、建設について協議を行いました。訪問の詳細と成果をご報告いたします。

7月26日:KAMWORKS 訪問

カンボジアの太陽光発電事業を先導する企業の一つであるKAMWORKSを訪問し、ARJEN LUXWOLDA氏(Director & Co-founder)と面談しました。同社は2006年に設立され、電力インフラが整備されていない地域にソーラー発電所を設置して電力を供給する事業から始まり、現在では1.5MWおよび12MWの大規模発電所を運営しています。

KAMWORKSは屋上ソーラーパネルの設置・販売も行っており、企業の屋上にパネルを設置する場合でもカンボジアの電力会社EDCへの申請が必要であることを教えてもらいました。カンボジアにおける太陽光発電関連の法規はまだ整備中で、現状70%程度しか決まっておらず、実務を通じて法整備が進められています。また、エネルギー省からのライセンス取得は容易ではないこともわかりました。1MWの発電所の発電量は年間130万KWと日本の最大の発電量と同等の発電があります。しかしカンボジアの高温による発電効率の20%低下も課題のひとつだということです。

7月27日:SEC SOLAR ENERGY訪問

SEC SOLAR ENERGYでは、MARTIN BANDALAN氏(General Manager)とSUM CHHORVY氏(Sales Executive)と面談しました。彼らは縫製業を本業としつつ、太陽光発電事業を展開しています。カンボジアは現在3GWを水力と石炭で発電しており、水力と石炭については新たなライセンスは発行されていません。カンボジア政府は2030年までに3GWの太陽光発電を整備し、2040年までにさらに1GWを追加してシンガポールに電力を輸出する計画です。同社は200MWのライセンスを取得しており、400ヘクタールの土地に太陽光発電所を建設予定です。

7月27日:エネルギー省 ティー副長官との面談

ティー副長官と面談し、カンボジアにおけるグリーンエネルギー推進の現状と課題について伺いました。カンボジアでは現在の総発電量は3GWでそのほとんどが水力と石炭火力であり、内太陽光は5%であること、化石燃料発電は2050年までには全廃を目指す方針であることをお話しさせていただきました。またJATICが推進する小型風力発電機とバイオマス発電についてプレゼンを行い大変興味を持っていただけました。9月に日本の現場を視察したいとの要望をいただきました。

7月29日:SOMA ENERGY 訪問

SOMAグループのエネルギー部門であるSOMA ENERGYを訪問し、LEUK DANA氏(Business Development Director)とADISORN MASAW氏(Chief Executive Officer)と面談しました。同社はEDCのパートナー企業として、送電網の整備や電柱の設置、再生可能エネルギー事業を幅広く展開しています。SOMAグループは農業、畜産、教育、不動産・建設、水処理、貿易など多岐にわたる部門を持ち、今後の良きパートナーとして多くのプロジェクトに興味を示していただきました。

7月30日:カンダール州の土木工事企業との面談

雨期明けの12月以降に予定されているSTEINによる道路建設について、カンダール州の地元土木建設企業と面談しました。STEINの技術を紹介し、道路建設における協力をお願いしました。

総括

今回の訪問を通じて、カンボジアにおける再生可能エネルギーの発展と課題を深く理解することができました。今後も現地企業や政府との連携を強化し、持続可能なエネルギーソリューションの提供に努めてまいります。

今回の訪問の実現にご尽力いただいたカンボジア民間航空局(空港省)のアドバイザーであるH.E. Prou Saony閣下ならびに、田井特別首相補佐官のリアムチビット秘書官に心より感謝申し上げます。

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